ANAマイルの使い道、国際線アップグレードー特典航空券にない利点
取りにくい国際特典航空券
貯めやすいが使いにくいと称されるANAマイル。
使い道として一番やりたいことと言えば、国際特典航空券と交換して、ビジネスクラスで○○に行きたい!
というのがみんなが思うことでしょう。
でもでも、この国際特典航空券の予約がなかなかうまくいかず、355日前の朝9時の勝負が必要となるケースが多く発生します。
このことは以前のブログでも書きました。
国際線ビジネスクラスへのアップグレード
やはりビジネスクラスでの旅行憧れますよね。
このビジネスクラスの航空券を丸々マイルによって調達する方法の他に、エコノミークラスのチケットを買って、それを一定のマイル等を交換する方法によってビジネスクラスへアップグレードする方法というのがあるのもご存じの方も多いでしょう。
この方法は果たしてお得なのかどうか、少し検証してみます。
このアップグレード、必要なマイルの他、ベースとなるエコノミークラスのチケットを予約・発券していないといけません。
とはいっても、エコノミーのチケット、なんでもよいというわけではありません。
日本発の旅程の場合、
G/E/Y/B/M/U クラス
である必要があります。
分かりやすく言うと、ANAのホームページから飛行機を予約しようとして検索結果に出てきたもののうち、末尾に「plus」という名称がついている航空券が対象となります。
この場合、エコノミーの「super value」「value」は対象外で、「basic plus」は対象となります。プレミアムエコノミーの場合は、「value plus」と「basic plus」どちらも末尾に「plus」がついているのでOKです。
エコノミーの「super value」は払い戻しができないある意味ギャンブル航空券なので私は買いませんが、「value」と「basic plus」の価格差、ここにわざわざ高いエコノミークラスを買ってアップグレードする意味があるのかどうか、判断が分かれるところです。
マイル単価を計算
路線や時期等により変化しますが、ここではカナダ、バンクーバー線の繁忙期での効果を見てみることにします。
お盆の真っ最中の8月11日(土)羽田発、8月18日(土)バンクーバー発の料金を前提にします。(1月20日現在の価格)
ビジネスクラスの特典航空券をマイルで取る
ビジネスクラスの最安値は往復で¥706,760なので、必要経費は若干あるので少し乱暴ですが、そのまま必要マイル数90000で割ると、1マイルあたりの価値は、
706760÷90000=7.82
で、7.82円の価値と出ました。
これを指して、1マイル2円の価値があると巷間言われている値から3倍以上の価値を生み出すことができるので「マイルは国際特典航空券(ビジネス)」に交換するのが有利ということが言えます。
ちなみにエコノミークラスをマイルで特典航空券に交換したときの価値は、valueクラスのエコノミーを買ったことと同様と捉えると価格は¥199,260なので、55000マイル必要なことから、
199260÷55000=3.62
で、1マイル当たり3.62円にしかなりません。1マイル=2円は超えていますがビジネスと比較すると価値は下がってしまうことがわかります。
マイルを使ってビジネスクラスへアップグレード
さて、マイルを使ったアップグレードですが、先ほどのvalue ではだめで、basic plusの往復運賃、¥303,760をベースにします。
これをビジネスにするわけですのでその際の効用は、ビジネスクラスの最安価格¥706,760との差額、¥403,000となります。
しかし本来はvalueでよいのにbasic plusを買うわけなので、¥199,260と¥303,760との差額¥104,500が余計な出費となり、効用から減じることにします。
403000-104500=298500
従って得られるネットの効用は¥298,500ということになります。
これをアップグレードに必要なマイル50000で割れば1マイルあたりの効果が出るはず。
ですが、ちょっと待ってください。
この場合、エコノミーではありますが、チケットを買って搭乗するので、搭乗することによりマイルがもらえます。「basic plus」だと区間基本マイルの7割6552マイルが往復でもらえるので、これを50000から差し引くと、43448になり、これで除してみると、6.87円。
なんと、ビジネス特典航空券をマイルで取ったときの価値7.82円と1円程度の差しかないという結果となりました。マイルの使い道としては悪くないということです。
やはりこの10万円程度の出費をどう考えるか、ってことになりますね。できるだけ現金出費を抑えて旅行したいという方針の方とそうでもない方で判断が分かれるところだと思います。
「空席待ち」でもあきらめない
では、このアップグレード、やればいいじゃん!と思った方にとってのハードルが実は存在します。
というのは、このアップグレードできる座席の枠と特典航空券の枠が同一であるということです。
例えばバンクーバー便の場合、ビジネスクラスについては通常会員では2席、プラチナ&SFC以上の上級会員ではさらに2席(合計4席)、特典枠があるとされています。この枠を巡って特典航空券の予約合戦が繰りひろげられることになります。人気路線・時期ではこの枠があっという間に埋まってしまうのはもう常識。この同じ枠に対してアップグレードの予約を取らないといけません。なのでたいていの場合、特典航空券の方が動き出しが早いので、特典航空券争奪戦に敗れた人と同じ「空席待ち」のステータスになることでしょう。
しかしあきらめる必要はありません。
とういうのも、特典航空券の空席待ちは、搭乗日の2週間前まで。これに対してアップグレードの空席待ちは搭乗当日まで有効です。
特典枠に空きが出ない状態が続くと搭乗日の2週間前に特典航空券の空席待ちができなくなる、つまり特典航空券で行列に並んでた人たちがいなくなる、ということです。ここでグッとアップグレードされる候補人数が絞られることになるでしょう。
で、ここから先は搭乗するビジネスクラスのチケットの売れ具合との兼ね合いです。あくまでも推測ですが、座席に一定の空きが出れば特典枠を超えてアップグレードに回してくれるというシステムになっていると思われます。
私の場合の話をしましょう。
実はこの年末年始の往復はこのアップグレードを利用しました。背景としては希望日程のホワイトホース往復ではvalueのチケットはなくてbasic plusを買わざるを得なかったということがあります。
チケットを購入したのは11ヶ月前の2017年1月31日。この段階で復路のアップグレードは即確定できたのですが、往路は「空席待ち」。
この「空席待ち」のステータス、これが延々と続きました。節目である搭乗日2週間前になっても何の変化もなし。ANAの予約のページでビジネスクラスの座席の空き具合もちょくちょくチェックしていましたが、がら空きとは行かずにそこそこ埋まってる感じです。それでも7席ぐらいは指定されていない座席があったと思います。
そうこうしているうちに搭乗日前日になりました。座席指定画面もブロックされどうなっているかわからないままに確か16時過ぎだったと思います。ついに来ました!
いつもANAをご利用いただきありがとうございます。
上位クラスへのアップグレードが完了しましたのでご案内します。
アップグレード空席待ちをされていたお客様へ
アップグレード前に有料サービスをお申し込みいただいていた場合は、お申し込みいただいた窓口へお問い合わせください。
というわけで無事に往復アップグレードすることができました。
まとめ
特典航空券ではなくマイルを使ったアップグレード、現金出費はありますがそこを割り切るとマイル単価は悪くなく、空席待ちでも特典航空券の空席待ちとはアップグレードされる確率が格段に高いものと思われます。
往復のうち片方をvalueにしてエコノミーで行き、もう片方をbasic plusにしてアップグレードを狙うということもできますので、現金出費についても抑えるという作戦もあります。
そして何よりも、特典航空券では往復路どちらかでも空席待ちになっていると旅程が確定せず不安定な状態ですが、アップグレード狙いはエコノミーのチケットはあるので旅行自体は確定です。ホテル予約や滞在期間中の予定も立てられるし何より精神的に楽です。旅行に行くワクワク感を味わいつつアップグレードはついでのご褒美、ぐらいに考えることができますよ。
そしてこのアップグレード、マイルではなく「アップグレードポイント」を使って行うことも可能です。北米ですと片道10ポイント、往復で20ポイント。修行等で貯まってる人にとってはマイルを消費せずにすみます。
では、国際線アップグレードについて一言、
「トランキーロ!」
「あ せんなよ!」